空を飛ぶ夢は何を意味しているの?(夢占いの辞典)

公開日: 23:36 夢解釈


「夢占いの辞典」なんてタイトルにつけてみましたが、「夢の辞典」ほどうさんくさいものはないです。

夢なんてなんとだって言えるじゃないか、と思いますよね。

とはいえ、連想をふくらませる手がかりがあったほうが、夢と遊んでみるきっかけになるかもしれません。

というわけで、「空を飛ぶ夢」について、こちらも自由連想風におしゃべりしてみるので、最近そんな夢を見たあなた、この文章を読んで感じたことからイメージをはばたかせてみてください。

空を飛ぶ夢

布団に寝ていると、魂だけが抜け出してふわふわと飛んでいくのが感じられました。天井あたりに浮かんでいて、寝ている自分を見下ろしています。このときは、「これは夢だ」「それとも、幽体離脱かな」などと考えていたと思います。あたりの光景は、なんとなくオレンジがかっていて、ブーンという妙な電子音のような音が聞こえています。「せっかくだから壁を抜けて外を自由に飛んでみよう」と思って、ふわふわと移動します。ちょっとお腹に力をいれると、上のほうに浮かんでいきますが、気を抜くとふらふらと落下しそうになります。建物の二階くらいの高さで、犬かきのように手足を動かしながら、なんとか前に進みます。鳥やスーパーマンのように自由自在に飛ぶのは、なかなか難しそうです。ふとふりかえると、飛んでいる自分と寝ている自分のあいだがゴムひものようなもので結ばれているのを見つけます。ゴムの弾力で引っ張られて、また布団のなかに戻ってしまいました。あのゴムひもが切れなくてよかったのかもしれません。
こんな夢を語ってくれた人がいました。幽体離脱を体験したことのある人はそれほど多くはないのかもしれませんが、後半あたりの空を飛ぶ場面は、わりと典型的なんじゃないでしょうか?

自由に空を飛べたらいいなとは、誰しも一度は思ったことがあるでしょう。夢のなかくらい、自由自在に飛び回りたいものですが、どうもなかなかうまく飛べないことも多いですよね。

次の文章は、『村上春樹、河合隼雄に会いにいく』で書かれていた、空を飛ぶ夢についての対話です。
村上:ぼくも、ただ一つだけ見る夢があるのです。いつも空中浮遊の夢を見るんですが、地面からちょっとだけ浮いているんです。それで、すごく気持ちいいんです。どういうふうにして浮けばいいのか、ちゃんと分かっているんです。だから、いま浮けと言われたら、ちゃんと浮かべそうな気もするんです  
河合:空中浮遊というのは、要するに、物語づくりですからね、ちょっと浮いているんでしょう。パーッと一挙に高いところまで昇る夢を見るのは子どもですよ、大人はまずありません
河合隼雄先生は、ユング心理学を日本に紹介した人物としても知られていますね。

自由に飛ぶ夢、うまく飛べない夢

「空中浮遊とは物語づくり」だとすると、「自由に想像力が羽ばたく」といった表現ともつながっているようです。

だとすると、自由自在に飛ぶことができている夢を見た人は、想像力が豊かに動いているのかもしれません。夢で飛んでいるときの感覚や感情はどうだったでしょう? わくわく? どきどき? 高揚した気分? それとも落ちるんじゃないかという不安のほうが大きい?

そうした感情体験によっても意味は変わってくるでしょうね。

「高いところまで昇る夢を見るのは子ども」だということです。あまりに高く飛びすぎるのも、「地に足が着いていない」ということの反映なのかもしれません。

また、願望や目的意識、現実逃避などが強すぎるといった可能性も考えられます。「空を飛ぶ夢を見るときは、性的な欲求不満のときなんだ」なんて言う人もいました。本当でしょうか。

山田太一の『飛ぶ夢をしばらく見ない』という小説は、会うたびに若返っていく女性と逢瀬を重ねるというストーリーでした。

エリカ・ジョングの『飛ぶのが怖い』も、ある女性の(性的な)放蕩が描かれた作品です。

願望や理想といった意味合いからは、イカロスの神話が思い出されます。蝋で鳥の羽根を固めてつくった翼で、イカロスは自由に空を飛びまわります。ところが「僕は太陽にだってたどりつくことができる」と傲慢にも考えたイカロスは、太陽神ヘリオスに向かって飛んでいきます。その結果、太陽の熱で蝋は溶け、彼は墜落死してしまいます。

この神話から連想されることは、あまりに高く飛びすぎることは、傲慢さやその後の危険を表しているかもしれないといったことです。理想が高すぎるのかもしれません。

墜落する夢

だとすると、夢のなかでイカロスのように墜落するということは、あまりに現実離れした願望や理想を修正し、地に足をつけるべきだということを示唆しているとも考えられますね。

川嵜 克哲『夢の読み方 夢の文法』 (講談社プラスアルファ新書)では、マンガ『天才柳沢教授の生活』を題材に、「空を飛ぶ夢」「落ちる夢」が分析されていました。

知性はとても優れている柳沢教授ですが、感情面はどうも未発達です。そんな柳沢教授の見る夢には、「落下」というテーマが何度も表れます。

空を飛ぶ夢のワーク

頭で解釈したり、夢占いの辞典などを鵜呑みにするのではなくて、できるだけ夢のなかで空を飛んでいる感覚を再体験してみてください。どんな風景が見えているのか、寒いのか温かいのか、なにか聞こえるのか、落ちるときの身体の感覚はどうか、といったことをもう一度体験してみると、夢のメッセージをとらえやすくなるかもしれません。

目覚まし時計のスヌーズボタンで覚醒夢の頻度が増える

公開日: 11:42 ドリームワーク 夢の科学

Dreaming誌に掲載された論文によると、目覚まし時計のスヌーズボタンで覚醒夢を見やすくなることが明らかになったそうです。

研究では、84人の被験者(44名の女性と39名の男性、1名は不明、平均年齢33.8歳)が、オンラインの質問に答えました。
毎朝、目覚まし時計やスヌーズボタンを使う頻度や夜中に目が覚める平均的回数などを尋ねる質問で、次のような傾向が分かったといいます。

  • 夜中に目が覚める回数が多いと覚醒夢を見る頻度も増える
  • 目覚ましのスヌーズ機能を使うほど夢もよく思い出す

よく夢を思い出して、スヌーズ機能を使う人ほど、覚醒夢を見たことがあると報告する傾向があるようです。

このような傾向が見られる理由として考えられるのは、覚醒夢を見る人とスヌーズボタンを使う人のあいだになんらかの個人的性格特性が共通しているか、あるいはスヌーズ機能をつかうときに少し目が覚めることが脳を活性化し、REM活動を引き起こすので、覚醒夢を見やすいのではないか、とのことでした。

Smith, Bethan Victoria; Blagrove, Mark, Lucid dreaming frequency and alarm clock snooze button use. Dreaming, Vol 25(4), Dec 2015, 291-299.